月曜日の感染者発表数は少ないし20代の新規感染者数は増えている【Covid-19】
まだまだ落ち着く様子のない新型コロナウイルス感染症。日々ニュースに触れていると、肌感覚で月曜日は感染者数が少なく、週末にかけて人数が増えていく気がします。その感覚は正しいのか調べてみました。また、春時点に比べ「20代30代の若者の感染が増加」というニュースもよく耳にするようになりました。他の年代に比べ本当に増加しているのかも気になるところです。
今回はまず改めて新規陽性患者発表数(毎日「東京では新たにXX名の感染」とニュースになる数字です。)を確認し、曜日ごとの発表者数に差があるのか確認します。
次に年代ごとの感染者数を確認し、各年代における新規陽性者比率が異なるのかを確認しています。
・結論
月曜日は週末に比べ新規陽性者発表数が有意に少ない。
最近は20代の感染者が「数でも比率でも」増加。
・データ
東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細
https://catalog.data.metro.tokyo.lg.jp/dataset/t000010d0000000068
※2020/10/15までのデータを集計
東京都の新規陽性者数
最初に東京都が発表している新型コロナウイルス新規陽性患者発表者数を日次で見てみます。専門家ではないのでいつからが第一波でいつからが第二波で…ということはわかりませんが、おおむね3月後半から5月にかけて1回目の波があり、8月ころからまた新規陽性患者数が増え始めたようです。
<図1 東京都 新規陽性者発表数>
見慣れたグラフです。オレンジ色の線で新規陽性患者発表数の5日移動平均を示していますが、10月現在は感染者の増加傾向もなく横ばいといった状況でしょうか。
曜日ごとの新規陽性者発表数
東京で毎日ニュースに触れていると、「●日ぶりに100名を超える感染を確認」という記事を周期的に見かけると思います。なんとなく仕事始めの月曜日は少なくて週末にかけて感染者の発表数が増えるイメージでした。今回は本当に曜日によって発表される新規感染者数に差があるのか確認してみようと思います。
なぜ曜日によってばらつきが起こるのかはわかりませんが、個人的には病院が検体を検査する体制、また保健所のキャパの問題もあるのかなと思います。そうであれば、第一波の時の状況と8月以降の第二波の状況では検査を取り巻く環境も変わっていることが予想されます。ということで今回は新型コロナウイルスが広がり始めた2020/3/1からのデータと、第二波の期間を含む2020/7/1から2020/10/15までの状況を比べてみようと思います。
※10/15で区切ったのは特に意図がなく、ちょうどこの日にデータをダウンロードしたためです。
まずは7月から10月までの曜日別の感染者発表数の状況です。
<図2 東京都 新規陽性者発表数 曜日別平均値>
各曜日の発表者数の平均値を青のバーで示しています。参考までに期間中の発表者数の平均値をオレンジの横線で示しています。肌感覚のとおり月曜日は発表者数が少ないことがわかります。水曜日当たりまでは比較的低水準ですが、木曜日からは平均値が上がります。毎週後半になると「コロナ感染者が増えた」という記事を目にする機会が増えますね。
曜日ごとの平均値が異なることはわかりましたが、これはただ偶然差が出ているだけなのでしょうか。そんなことはありませんでした。エクセルの便利な機能で「生じた差は偶然の差なのか、それとも偶然ではない差なのか」ということを調べられる機能があります。結果、月曜日は偶然ではない程度で発表者数が少なく、土曜日は偶然ではない程度で発表者数が多いことがわかりました。
データ数を増やし、新型コロナウイルスが広がり始めた2020/3/1からの状況をみても曜日ごとの傾向は変わりません。
<図3 東京都 新規陽性者発表数 曜日別平均値>
やはり月曜日は少なく、金・土は発表者数が多い傾向にありました。その差も偶然ではないようです。医療機関や検査機関を取り巻く状況もこの半年で変化していると思うのですが、傾向は変わらず出ているようです。
今後は月曜日の感染者数のニュースを見ても「減ってきた!」と思わずに、「傾向通りだな」くらいに受け止めるべきだと思います。
東京都の年代別新規感染者数
過去のニュースを思い返してみると、4月の感染者は比較的高齢の方が多く、最近は20代30代といった若年層の感染が増えている…といった報道が多い気がします。本当に年代間で感染者の増減が見られるのでしょうか。そして最近は若者の感染が増えているのでしょうか。
日々発表される新規陽性者数を年代別に見たのがこちらです。
<図4 東京都 年代別新規陽性者発表数>
20代はオレンジ色、30代はグレーですが確かに4月ころは新規陽性者数が少ないように見えます。外出自粛期間を経て、そこから徐々に20代の新規陽性者数が増えていっているように見えます。
続いて、1日の新規陽性者数に占める比率を年代別で見てみます。
<図5 東京都 新規陽性者における年代比率>
3月はそもそも新規陽性者のデータが少ないのでガタガタしていますが、4月ころからは傾向が出てきています。7月ころは20代、30代の新規陽性者数が1日の新規陽性者数に占める割合が7割近くまで上がっている日もあります。特に20代の比率は最近でこそ落ち着いてきたものの、7月8月は高めに出ています。若者の感染者数が数字でも比率でも高まってきていましたので当時の報道は正しかったようです。
発表者内に占める年代比率は見てきたとおりですが、東京都の人口は全世代が均等なわけではありません。東京都の年代別人口に占める感染者の比率はどうなのでしょうか。
第一波を含む4月と第二波を含む9月の状況を比較してみます。
年代別人口に占める新規陽性者数の比率
・年代別人口データ
人口推計 10月1日現在人口 2019年
現在2019年10月1日の情報が最新でしたのでこちらを使います。1年古いものですが仕方ありません。また、人口推計は5歳階級であり上が「85歳以上」でくくられています。東京都の新規陽性患者発表数は85歳以上の内訳まであるのですが、人口推計に合わせて年代カテゴリを80代以上として集計します。
ではまず年代別新規陽性者数を4月と9月で比較してみます。
<図6 東京都 年代別新規陽性者数>
9月には入ると40代以下は4月に比べて人数が増加したことがわかります。同時に、60代以上は新規陽性者の数で見ても4月より9月のほうが減少していることがわかります。これは大きな変化です。20代以上については年代が上がるごとに9月のほうが感染者数が増えています。
報道では高齢者の重症化事例もありましたが、高齢者の方ほど感染対策への意識が高まったのでしょうか。
続いては東京都の年代別人口に占める新規陽性者の比率です。
<図7 東京都 年代別人口に占める新規陽性者数の比率>
折れ線グラフが東京都の年代別人口に占める新規陽性患者の比率です。年代別人口に占める新規陽性者比率は右軸をご覧ください。
まず4月時点では(感染者数の少ない10代を除き)各世代とも新規陽性者数は0.03%近くでした。9月になると50代を境に50代より若い世代は新規陽性者比率が上がり、50代より上の世代は逆に新規陽性者比率が下がっています。
特に20代では9月の20代人口に占める新規陽性患者発表数が0.06%まで上昇しました。
20代は大学生から社会人まで多様な属性を含む年代です。なぜ20代だけ新規陽性患者数の増加がみられるのでしょうか。20代が感染対策を怠っているのでしょうか。持ち込まれた検体を年代別にみて陽性率を調べる必要があると思いました(20代30代の検体が多く検査されている可能性もあるため)。
少なくとも私はCovid-19を恐れており、この一年は外食にも会合にも参加していません。基本的にはしばらくこの対策を続けていこうと考えています。20代は陽性比率がほかの年代に比べて高いということは、同世代の友人と遊んだ場合、他の世代の方と過ごすより感染する可能性も上がりそうです。中には無症状患者も多い、という報道もあります。
生活が壊れるほど過度に恐れることはしたくないですが適切な距離はとり続けていこうと思います。
気になったことメモ
・重症患者数
問題は新規陽性患者数よりも重症患者数だ!という主張をよく耳にします。軽傷でも後遺症が残る可能性があるので何より罹患しないことが大切だと思うのですが、確かに重症患者の数も調べてみたいです。こちらは東京都のデータで簡単に推移を調べられます。
またYahoo!のサイトでは現在の感染者数(新規患者数ではない)もグラフ化してくれています。
・検体の陽性比率
持ち込まれた検体の陽性比率は世代間で異なるのか?
・東京都年代別人口比率
東京都の年代別人口は比較的綺麗に分散している印象を受けました。地方は高齢化が進んでいるという話もありますが、実際のところどうなのでしょう。
また23区内でも年代の差はあるのでしょうか。子育て世代が多くて平均年齢が若い区や、セカンドライフを楽しむ方が多く平均年齢が高い区はあるのでしょうか。